LOST MUSIC〜消えない残像〜
星羅にそっくりな短い悲鳴に、
懸命に理解させようとしている脳とは裏腹に、
体が勝手に動き出す――。
宙に扇状に広がる栗色の長い髪。
前のめりに倒れゆく壊れ物のような華奢な体。
「星羅っ――!」
我を忘れて叫びながら、必死に腕をのばす――。
そして、腕にかかったのは一瞬の衝撃と軽めの重量。
「……あ、ありがとうございます」
……錫代の間の抜けた声に、一気に安堵と後悔が訪れた……。
俺は何をしているんだろう――。
……自分から遠ざけたくせに、何で助けてるんだろう……。