LOST MUSIC〜消えない残像〜
「……関係ないだなんて、言わないでください……。」
隣から聞こえた声はあまりにも細くて、そのまま風にかき消されてしまいそうだった。
無理にそんな偽善者ぶった言葉かけなくていい……。
俺はこの世界で、一人ういてるんだ――。
高く澄んだ空も、グラウンドにお似合いな白いユニフォームも、全て俺には遠くに見えた。
皆景色に馴染んでいるのに、俺はその景色に誤ってまざった異物のよう。
だが、俺はそんな中で綺麗な放物線を描く白球を目で追っていた。
……やっぱりあの白球も空には届かないんだよな。