LOST MUSIC〜消えない残像〜
俺には分からない……。
あれだけ冷たくされて、あれだけ突き放されて、どこに俺にこだわる理由がある?
俺は、俯いて前髪で影のできた錫代をぼんやりと見た。
すると、弱々しい声で言葉を紡ぎだした――。
「……私、奏斗先輩に一目惚れしたんです」
錫代の声が、二人しかいない図書室に静かに響く。
……一目惚れ……?
目の前には白い頬をピンク色に染めた錫代。
「ステージの上でギターを弾いて歌う奏斗先輩に、吸い込まれそうになったんです。キラキラ輝いてて、まるで星みたいでした――」