重なる平行線
水貴の目線の先には、少し年季の入ったであろうブランコ。

それに座っているのは、膝の上に本を乗せた少女。

柔らかな風が吹き、前屈みになっていた為に顔の半分を覆っていた前髪がゆられ、隠れていた瞳が見える。
名前を呼ばれて少女は顔を上げる。


そこには、鈴原美月が居た。


少しだけ目を大きくした鈴原美月を見て、
俺こと津坂旭は

「…マジかよ」

そう、呟くしかなかった。
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