重なる平行線
「…つまりこういうことです。
鈴原サンがバイトの面接の為、家を開けたのを見計らい、写真を入れた封筒を郵便受けに入れる。後は先回りをして、偶然を装って帰り途中の鈴原サンに会う。そうして成り行きで家に入り、写真が鈴原サンに見られたのを確認する。
考えられなくは、ないですか?」

「―ははぁ。」
成る程、考えられなくはない。水貴がそんなことする意味が不明瞭だけど。
でも一言、いいかな。
『成り行き』を強調してんじゃねー。

「…それなら、渡貫さんに知らせるよう勧めたのは彼ですが、その点については?」
「鈴原サンの信頼を得るためです。あくまでも仮説ですが」
「……」成る程。


けどまぁ、確かに。
私は水貴の行動を知らない。
私の家を事前に知っていたし、渡貫さんがさっき言っていた犯行も可能。
私は水貴の行動を監視していたわけでもないし、寧ろ私が監視されていた可能性もある。

…でも。
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