僕らの瞳にうつる世界。
僕らの瞳にうつる世界。


―――9年前。



6才のあたしとあなた。


あの頃のあたし達は、ただ純粋に未来を信じていたよね。


残酷な世界をまだ知らなくて。



『俺の夢はプロ野球選手になること!結衣の夢は?』



オモチャのカラーバッドを力強く振りながら言ったあなたの瞳は


宝石のように輝いていた――…



『結衣の夢はね、大好きな人のお嫁さんになること!』



大好きな人はあなただよ。


なんて、恥ずかしくて言えなかった。



でも本気だったよ。


本気であなたのお嫁さんになりたかったんだ。



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