僕らの瞳にうつる世界。


手に握られていたネックレスを真っ直ぐに見つめる。


風が、あたしの横を駆け抜けた。



「じゃなきゃ、生きたくても生きられなかった人に申し訳ないって、そう思わないか?」


「………」



彼の顔を見ると〝死ぬな〟って言われているような気分になって。


コクンと小さい子みたいにうなずくと彼は口だけ笑って見せた。


綺麗な顔をしている彼に似合っていないような似合っているような妖艶な微笑み。



ただ、

――…生きてさえいればいつか笑える。



そこのフレーズだけが頭の中で何度も何度も繰り返されていた。





























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