僕らの瞳にうつる世界。


――ピンポーン。

チャイムを鳴らして数秒。応答がない。


先輩と顔を見合わせる。


――ピンポーン。


もう一度鳴らしてみたけれど、やっぱり反応がない。


腕時計で時間を確認してみると、時刻は現在10時26分。


出かけてるの……?


先輩があたしの前に出てドアノブに手をかけてひねった。

すると開いたドア。


あたしを一瞬見ると先輩は決心したように部屋に入り込んだ。

先輩の後にあたしも続く。


暗い部屋。電気もついていない。


とりあえず先輩の背中に出来るだけひっついて歩いていると突然立ち止まった彼の背中に鼻が潰れた。

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