腐女子も恋していいですか?
「相変わらず、聡くんの男子人気、すごいねぇ…」
 舞が呆れながらそう言う。


 また一つ、私の妄想が広がった。
(クラスの姫的存在の聡くんを、自分のモノだけにしたい桜庭。その桜庭と聡くんを離れさせるために、クラスの男子たちが聡くんを監禁して…ムフフ)


「ってば、瑞穂ってば!」
「へぇっ!?」
 間抜けな声を出して、聖に背中を叩かれた。


「ぼけっとして、まさか、またBLの妄想? 男同士の何が楽しいの」
 ものすごく嫌な声を出されて、せっかくの楽しい気分が、一気に冷めていく。


「BLは、恋愛の最終形なの!」
「何が最終形よ。わけわかんない。まっ、瑞穂に男女の恋愛なんて、まだ早いってことね。そんなんじゃ、聡くんとは何も起こりそうもない、か」


 何故か、そう言うと機嫌がすっかり直り、聖は足早に視聴覚室へと私たちを急かした。


「ふん、失礼しちゃうね。私だって、好きな人くらいできるわよ。―――そのうち…だけど」
「だろうねー。その時には、喜んでお祝いしてあげるわよ」
 聖は、さっき怒ったことは、すっかり忘れて上機嫌にそんなことを言う。


 う―――。


「言っとくけど、聖よりも、私の方が彼氏が出来る確率は高いと思うよ」
 悔し紛れに、挑発するような事を言ってしまった。
 そして―――。


 その結果、どちらが早く、彼氏が出来るか競争することになってしまったのである・・・・・・。
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