腐女子も恋していいですか?
「はぁー」
 思わずため息がもれる。


「おはよぉー。瑞穂、朝からため息なんてついてどぉしたのぉ?」
「んー、おはよう。なんか胸が苦しくて・・・・・・」
 舞に挨拶すると、また、ふぅー。と一息出てしまった。


「嫌がっても、今日はつき合ってもらいますからね!」
 聖は慌てながら、私に約束だからね! と釘をさす。


別に、嫌だからため息ついているわけじゃないんだけど…、というか、どうでもよく思ってしまう。


「わかってるよ。それは、ちゃんと行くよ。えーと、聖の彼って、村雨紘一くん…だっけ?」

「そう、村雨くん。村雨くんが連れて来てくれる人は、同じ東雅高校の同級生らしいんだけど、詳しいことは聞いて無くて。瑞穂のタイプならいいんだけど」


「うん。そうだね」
 気のない返事をしてしまう。


「ねぇ、今日はどうしたよぉ、全然元気ないじゃなぁい」

 
 心配そうな舞の顔を視線に捉えると、その先に、聡くんが自分の机へと歩きながら、こちらを向いているのに気が付いた。


「あっ・・・・・・」
 思わず、口に出してしまう。


 私の声に、ふっと笑って「おはよう、岬」と、声を掛けて来る。
「…おはよう」
 私の挨拶に、柔らかな笑顔を浮かべると、机にカバンを置いて、こちらに来た。
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