腐女子も恋していいですか?
「じゃあ、俺、このまま消えるわ」
 そう言って、チラリと後ろを振り返る。


 聖は、村雨くんにしっかり手を握られて、恥ずかしそうにこちらへ向かって歩いてくる。
 聖が言う恐いって、村雨くんの聖へ向ける真剣な想いを感じて…なのかもな。


「うん。ありがとう、青田くん」
 青田くんを友達を持つ村雨くんは、きっと優しい人なんだろう。そう思うと、安心できる。


「じゃあ、また何かあったら会おうな」
 そう言って、青田くんはみんなに手を振って去っていく。


 後ろで、「え、どうして?」と、聖の声がするので、事情を説明しようと振り返ると、村雨くんが聖の耳元で何か告げていた。


 きっと村雨くんは、青田くんが帰る事を知っていたに違いない。


 私も聖たちに別れを告げて、立ち去ろう。
そう思ったのに、何も言えず、固まってしまった。
 

 私に視線を向けて、急いでこっちへ来る聡くんが目に入ってしまったから―――。
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