君に触れたくて…



触れちゃいけない…
こんな純粋で、無知なやつに。


汚れた俺が、触れてはいけない。




「どうしたの?」


「あ、いや…胸意外とでかいなぁって」




みるみる秋桜の顔が赤くなっていく。

俯いたまま、何も話さない。




「照れてんの?」


「うっさい!バカ!」


「可愛い~♪」


「もう!黙ってよ!」




俺はこの日から、
秋桜にだけは触れないと決めた。


俺なんかが触れたら、秋桜が汚れてしまう。


しかもこんな俺を、
秋桜が好きになるわけない。




秋桜が家に入ったのを見届けると、
俺は今までの自分に後悔した。





俺の頭の中は毎日秋桜でいっぱいだった。



あいつとすれ違うだけで
胸のドキドキが止まらない。

あいつと話すだけで
緊張してうまく喋れない。

秋桜が笑顔を向ける度
俺は触れたいと思う。



全部、全部俺のモノにしたくて、
叶うことのない夢を、

満たされることのない欲望を、

俺は他の女で埋めた…。





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