君に触れたくて…




金本と学食で別れ、
俺は煙草を吸うために屋上に向かった。



眠てぇー…



大きな欠伸をしながら、屋上のドアを開けた。



俺の目に入り込む、澄んだ青い空と白い雲。


そして、フェンスに寄りかかって話している、秋桜と“ゆき”とか言う男。




は?何でいるんだよ。



秋桜は俺の存在に気付き、
こっちを見たが、すぐに目をそらした。



何だよ…
そんなにあいつがいいのかよ。




「秋桜、行こ」



ゆきが秋桜の手を掴み、屋上から出て行こうとする。



今、最高にむしゃくしゃしている。



そんな俺は無意識に、ゆきを殴っていた。




「ゆきっ!!」




秋桜がゆきに近寄り、体を起こす。


“ゆき”なんて呼ぶなよ…




「ゆき大丈夫?」



「あぁ」




秋桜は目に涙を溜めて俺を睨んだ。


そして


バシッ!!
と頬を叩く音が屋上に響いた。



秋桜は何も言わなかったけど
見つめる目ははっきりと、俺を恨んでいた。





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