月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
お久し振りです、と多江さんは頭を下げた。

「多江さんはオレと同じR大生だ」

?マークを浮かべるあたしに、達郎兄ちゃんはそう説明した。

「オレよりも一学年下で、R大学のスイーツ愛好会に参加していたんだ」

なるほど、そういうことか。

人は意外なとこでつながっているんだな。

にしても『Love☆スイーツ』ってすごいネーミングだな。

それを真顔で言える達郎兄ちゃんはもっとすごいけど。

「以前に伺った月見先輩のエッグタルトの話、思い出しました」

「ああ、マカオに行った直後でしたね」

甘党ってのはネーミングにはこだわらないのだろうか。

いや、そんなことはないと思うが『Love☆スイーツ』を完全に流している。

「雪村さんが休学されていたことは伺っていましたが、この病院とは知りませんでした」

「皆さんにはご挨拶もせずに申し訳ありませんでした」

「病気では仕方ありませんよ」

達郎兄ちゃんは多江さんをベンチへ促した。

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