あの日の朱雀
私は一生忘れない。
桂馬さんの、この大粒の涙を。
「いや、まいったな。もう行っちゃうのか。」
頭を掻いて無理に笑う桂馬さん。
「桂馬…さん…」
私は卑怯者だ。
「ねぇ。夕空。」
「…はい。」
桂馬さんがそっと夜空を指さす。
「これからはさ、一番大きな星にただ謝るんじゃなくてさ。」
そう言って、星と指輪の輪っかを重ねて見せた。
「俺の事思い出して。幸せだよーって。言ってね?」
世界中どこ探したって、こんなに優しい人はいない。
「っく…ふぇ…」