お菓子なカラダ。
レモン味。


「……ごめんなさい。」


放課後の、空いた教室。

夕陽が射し込む、いかにも
告白にふさわしいシチュエーション。


そんな中で、私は、
高校生になってから
何度目かの告白をされた。


「飴ちゃん…どうしても、
ダメかなぁ」


同じクラスで、サッカー少年の
宮谷彰介君が苦笑する。


「…ごめんね?」


長い髪を耳にかけながら、
上目遣いで宮谷君を見つめる。
申し訳なさそうに。

二重の線がはっきりした
大きな目には自信がある。


「いや、俺の方こそごめんな
明日からさ、また、
友達としてよろしくな」

「もちろん」


許されると分かっていて
謝るのは、意地の悪い事かしら。


「飴〜帰ろう!!」
「じゃあ、また明日ね」
「おうっ、じゃあな」


最後にとびきりの笑顔で
コクッと頷いて、
少し手を振った。

軽く走って悠里の所に行く時、
赤い顔をした宮谷君が見えた。


それもね、
言うなれば計算済み。
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