霊感少年とメリーさん


「そうなんだよな。なのに、今大変だから気の毒だよな」
「何が?」

気まずそうに暗い顔をする慶太に不信感を抱く陽一。陽一の反応に、慶太は驚きを隠せず話続ける。

「お前、知らないのか?松下先生のクラスでイジメが起きて、今大変なんだぞ」
「なんだよ、それ、、、。仲間外れとかしてる奴らがいるのか?」
「いや、そうじゃなくて「クスクス」

突然、慶太の言葉を遮るように何処からか笑い声が聞こえる。陽一は、笑い声に違和感を感じて、背中に背負ってある竹刀袋から悪霊退治用の竹刀の取って警戒する。

「どうした?陽一」

何かに警戒をしている陽一に、不思議そうに尋ねる。陽一は、目蓋を閉じる。悪霊から発生する空間があるか神経を研ぎ澄ませて気配で探る。しかし、神社の時と比べて悪寒が感じられない。

「慶太、悪い。先に教室に戻ってくれ」
「おい!何処行くんだよ、授業始まるぞ!」

陽一は、とある場所に向かって走り出す。学校に置いてある公衆電話へと向かった。お金を入れて、メリーの電話へダイヤルを回した。しかし、聞こえてきたのは通話中で繋がらない。

メリーは今は仕事中で繋がらないのかもしれない。心配し過ぎか?と考え込むが、授業の開始を告げるチャイムによって掻き消される。陽一は、どうすることも出来ず慌て教室に向かった。

チャイムが鳴り終わりを聞きながら、教室のドアに手をかけた。

「すみません、遅くなり「待っていたよ、織原くん」

聞きなれた穏やかな声により、思考が停止する。担任の綾川先生ではなく、松下先生が教卓に立っていた。


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