Dear my Dr.
「ちがいますっ!悠ちゃんが“ちゃんと呼吸器の先生に診てもらったほうがいいよ”って言ったから」

「だから、俺、呼吸器の先生じゃないし!その医者嫌いをどうにかしろよ…」

呆れ顔でデスクに向き直って、処方箋を書いてくれる。

その間、さっきのセリフを思い出す。

“夫婦喧嘩?”って。

そのセリフがちょっと痛かったり。

……ケンカじゃないけど。

「…美波?」

気がつくと、お兄ちゃんはとっくにこちらを向き、不思議そうに私を見ていた。

「俺が処方したってバレたら、怒られんじゃねーの?」

「悠ちゃんは怒らないよ」

「あー、まぁそうだろうな。悠哉くん、美波には特別甘いから」

そうなんだ。

…そうだよね?

私たち、ちゃんと愛し合って結婚したんだもんね?

「とりあえず3日分だけ出しとくから、ちゃんと受診するんだぞ」

「えーっ、嫌だよ」

「嫌じゃない、命令だ」

「お兄ちゃんのケチ!」

「はぁ!?人の手間取りやがってケチとは何だ!」

軽く兄妹ゲンカが勃発しそうになりながら、診察室をあとにした。

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