Dear my Dr.
ふわふわのベッドの上に下ろされる。

その振動で気がついた。

ここは私の部屋。

今まさにお姫様抱っこ状態で、悠ちゃんがおろしてくれたのだった。

悠ちゃんは、私が目覚めたのには気づいてない様子。

「大丈夫です。ちょっと過換気になってしまったみたいで」

その後にお母さんの声。

「そう?よかった…喘息の発作じゃなくて…。ごめんなさいね、迷惑かけたわね」

「いえ、大丈夫です。しばらく僕が見てますので、先寝ててください」

パタンとドアの閉まる音がした。

静まり返った部屋。

なんとなく気まずくて、寝たふりしてみる。

おでこに悠ちゃんの手が触れた。

……ダメだ。

顔がニヤける。

寝たふりがバレる前に、思わず目を開けた。

悠ちゃんは驚くでもなく、私の目を見つめる。

無言。

沈黙に耐えられなくて口を開く。

「…ごめんなさい」

「なんで美波が謝るの?」

「迷惑…かけちゃったから」

「大丈夫だよ。心配はしたけど、迷惑じゃないから」

ほら、そうやって、優しい。

なんでなの?

正直に言えばいいのに。

迷惑だったって。
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