Dear my Dr.
悠ちゃんは少し眉を上げて“コラッ”って言った。

すみません…。

「ちゃんと自己管理しないと」

「そうだよね…」

怒られちゃった。

しょんぼり。

「じゃあ今回は点滴だな」

「えぇぇ」

「“えー”じゃないよ、ホント」

少し背の高いコートハンガーにフックを引っかけて、点滴のボトルが吊るされる。

注射キライなのに。

だから病院がキライなのに。

悠ちゃんはワイシャツを腕まくりして、ベッドの傍に座り込んだ。

「はい」

「…はい?」

「腕出して」

観念して左腕を出した。

スーッとする消毒液。

針を持つ悠ちゃんの手にビビって、思わず目を背けた。

「ちょっとチクっとするよ」

そう言われて身構えたのに、あれ?

案外平気。

あっという間。

気付いたときには、悠ちゃんは腕時計を見ながら、点滴の速さを合わせていたのだった。

「…痛くなかった」

そう言うと、

「そうでしょ?」

ちょっと自慢げな顔。
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