Dear my Dr.
夢を見ていた。

夢、というか、昔の思い出。

途切れ途切れの記憶が、映画の様に映像になって、夢の中で流れていた。



私はクリスマスツリーの飾りつけをしているらしい。

「みーちゃん、てっぺんのお星様がまだ付いてないよ」

私のことを“みーちゃん”と呼んだのは、お父さんの友達の娘である奈保美だ。

病院経営者の家族で集まる、毎年恒例のクリスマスパーティー。

たぶん…奈保美は同い年だし、その背格好から、私も小学校低学年あたり。

大きなクリスマスツリーは、私たちの背よりもはるかに高い。

頂上につけるはずである星飾りを手に、呆然と上を見上げていた。

すると…

「美波、ほら」

ひょい、と私を抱き上げてくれる人。

お父さんの友達、茅島病院の…

「浩哉くん!」

「はやくつけなって」

「んー…えいっ」

「よし、できた」

そう言いながらも、下ろしてくれずに抱っこの状態。

「美波はちっこいから軽いなぁ」

周りの大人たちも笑っていた。

奈保美が言う。

「いいなぁ、みーちゃん。婚約者だからって、浩哉くんひとり占めにしてー」

婚約者だからって…

抱きかかえられたまま、下を見下ろせば、お兄ちゃんと遊んでる小さい頃の悠ちゃん。





……あれ?

待って。

なんか、

間違ってない!?
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