Dear my Dr.
3人で、うす暗い廊下を歩いて、医局にたどりつく。

前にも来た、あの場所。

真夜中の医局は、しーんと静まりかえっていた。

悠ちゃんは、私が来ることを拒んだ。

だけど、お兄ちゃんの説得に負けて、しぶしぶ連れて来てくれた。

何か嫌な予感がした。

お父さんは、お母さんにも私にも言えない、何か重大なことを隠している。

そんな気がした。

パソコンの画面に映し出されたのは、CTか何かの画像。

シロウトの私には、さっぱりわからないけど…たぶん頭?って気がする。

お兄ちゃんは、ただ無言で、何枚もの画像を見続けていた。

そして、しばらくして言う。

「…いつから?悠哉くんは、前から知ってたんだろ?」

悠ちゃんは、言いづらそうだけど、もう観念したのか。

静かに話し出す。

「ちょうど半年前くらい。最初は頭痛がするって、ご自分の病院で検査されて…。それで判明してウチに」

判明って…なに?

2人の顔を見比べてたら、お兄ちゃんが言う。

「脳腫瘍だ」

「……え?」

「コレ、白く映ってんの、全部腫瘍だよね?オレは専門外だし、詳しくは読めないけど…」

まさか…

お父さんが?

あんなに元気なのに?

驚き過ぎて、無意識に、悠ちゃんの袖を引っ張っていた。

そんな私を見て、悠ちゃんは優しく言う。

「良性の腫瘍だから、ガンじゃないんだけどね?転移もしないと思う」

「死んじゃったりしないよね?」

「適切に治療すれば治るよ」

その言葉に安心する。

よかった…。

でも、お兄ちゃんは険しい顔のまま。
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