Dear my Dr.
「お疲れ様っ!」

「あれっ?ごめん、今出ようと思ってたとこだったんだけど…」

茅島病院の脳外科医局を覗く。

完全にお仕事モードの悠ちゃんは、まだ緑のスクラブを着たままだった。

髪の毛が乱れ気味。

「ちょっと待ってて。シャワー浴びてきていい?」

「うん、待ってる」

スリッパの音をペタペタ鳴らしながら、やや小走りにロッカールームに消えた。

今日は休日だからか、医局にいたのは悠ちゃんだけ。

いつもなら2、3人は先生がいる。

もう顔なじみになってしまったけど。

みんな私を“悠哉先生のお嫁さん”って呼ぶ。

まだ結婚するって決まってなかったときから、ずっと。

ソファーでテレビ見ながらくつろいでると、急に後ろから抱き締められる。

「お待たせ」

シャワー浴びたてで、ちょっとホカホカしてる悠ちゃん。

振り向く前に、唇が触れた。

ドキドキして苦しい。

「…顔赤いよ?」

「だって……」

少し乱暴に私の頭をなでて、悠ちゃんは立ち上がった。

「さて、行きますか」
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