そして僕は恋に墜ちた
6.
目的も無く、僕はただふわふわと浮いていた。

遥か下には沢山のビルが立ち並び、その間にある道路には、蟻の様に小さな人間達が行き交う。


こんなに空高くを飛んでいても、自殺志願者の思いが、僕に向けて集まって来ていたが、僕は気付かないふりをした。

今は何もしたくない。

本当は、あの暗い部屋で眠っていたかったが、横になっていても眠れるどころか、誰かに監視されて居るのを痛い程感じてならなかった。


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