そして僕は恋に墜ちた
9.
……

体中が痛い。

瞼が重い。

まだ雲の中を漂っているのかと思ったが、意識がはっきりしてくると違う事が分かる。

どうやら僕は、ベッドに寝ているようだった。

まだ開けられない瞼に、やわらかい光を感じる。

寝返りをしようと、少し体に力を入れると、体のあちこちに激痛が走った。

電流が流れた様な痛みに、開けられなかった瞼が、反応する。

僕の目に写ったのは、格子のついた小さな窓。

そこから見えるのは、少し欠けた月。

それは、紛れも無い僕の部屋だった。


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