そして僕は恋に墜ちた
14.
相変わらずキリキリとなる後頭部を意識から追い出し

傷口を覆っている腕を掴もうと、僕はアリスの方へと手を伸ばす。

「シロ…やだよ。やめようよ…」


呟きながら小さく震えるアリスの左手を、傷口から放した瞬間

後頭部の痛みが、まるで自己主張するかの様に強まり、あまりの痛さに僕は無意識に動きが止まる。
 

隙をついて、アリスは僕の手を振り払うと、右側をするりと抜けたが、部屋の中央辺りに落ちた僕の血に足を滑らせ、その場に倒れ込んだ。



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