そして僕は恋に墜ちた
僕は、アリスの右肩から手を放した。

僕の血が肩に広がっていて、真っ白いアリスの服によく栄えて見えた。

そのまま左手を、アリスの傷口へと恐る恐る伸ばして行く。
 
緊張しているのか、喜びからか

自分自信分からなかったけれど、震える指先が滑稽に見えた。





『…シロ』



アリスの呟いた声は、後頭部の痛みからくる耳鳴りに消され

そして僕は、アリスの傷口に、左手を重ねた。









アリスを悪魔にする為に。


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