この世界にいる誰かへ
小さな棘
会いたくてあったわけじゃない





神様が意地悪したのか





それとも、





私がどこかで願ってしまったのだろうか





黒い願い





忘れたはずなのに





その声に反応してしまった





貴方は幸い気づかない





遠くで見つめてしまった





ただ見守った





貴方は幸せそう





私は静かに去っていく





ただ私は…嬉しかった





忘れたはずの感情が出ていた





全て忘れたと思っていたのに…。





反応した自分に驚きながらも苦笑した。





あぁ、私まだ…。






黒い縛りは貴方を欲した。





でも貴方の今を壊したくない。





去り際に高い窓を見た。




そしたら貴方が見えた。




誰もいないはずの窓にたった一人で…。






そんなはずはないのに。





もう一度見た。






そこには何もない窓。






きっと気のせい。






貴方は気づかなかったはずだから。






棘は小さな痛みを残して…。





私を少し切なくさせる。





今は…。そっと胸にしまって…。






貴方は今幸せなはずだから。





遠くで見つめた私を許して。





通り過ぎる風のように。





どこかに去っていくだけだから。






今を大切に…。






小さな棘はどこかに置いていくの。






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