リフレイン〜3rd Season〜

――その夜、bar noa。




「ごめんなさいね、水樹。子供もいるのに…」




「気にしないでよー。よし、昼間の続き話そーよ。」




あたしから切り出すと、朱里は苦しそうな顔をし、話し出した。




「……結婚したら…子供を作って、二人で育てて……っていう未来図は世間的には当たり前のことだと思うの。」




「うん…まぁ、そうだね」




「でも…あたしは……」




朱里は言うのをためらう。




「あたしにとって、今の仕事は…自分を保ってこれた最高の誇りだと思ってるの。あたしの父ね、凄く頭の硬い人で。女を見下すような所もあったの。だからあたしは…必死で警察官の道を歩んできたの。」




「そう、なんだ…」




朱里のお父さんが……。




「警察という男社会の中で必死でやってきて、SPになって……今に至って……なんかね、仕事をしないで子育てに没頭する自分が想像できないのよ。よく、分からないの……」




「朱里…」




子育てに没頭する自分が想像できない、か…。




でも、そんなの……




「じゃあ、子供なんか作らない方がいいよ。子供も可哀想だし」




あたしがそう言うと、朱里はびっくしりしたようにあたしを見た。




だって、これが正論だよ?



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