短編
銀色と、たくさんのくすり ※病み注意
さくり、と。
土にスコップを突き立てたような、感触。
案の定、彼はそこに居た。
相変わらず青白い肌と、血の気の無い唇。
更に今夜は冷えているから、それも当然かも知れないわね。
なんて呟いて、右手に握る物の、その感触を確かめる。
後ろめたさは無い。
そして、殺意も。
真っ暗な部屋の中で、それでも鈍く輝いている銀色を、頭上に振り上げる。
そのまま引力に任せて腕を下ろせば、意外にも綺麗に命中した。
彼の左胸に。
さくり、と。