透明人間になれる薬【BL】


野宮が、家のインターホンを鳴らす。


「すみませーん、小吹君と同じクラスの
 野宮と言います。お見舞いに来ました」


『……お見舞い?』

不審そうな声。
母さんだ。


僕は学校に行ってると思ってるんだから、
変に思うのも無理はないだろう。



「あの、小吹君今日休んでますけど、
 ……風邪ですか?」

野宮も、若干窺うような声だ。

『あ、ええ、そうみたい』

曖昧な返答。


見舞ってもいいかと問う野宮に、
部屋を見てきたらしい母さんは

『ごめんね、あの子具合悪そうだから』

うつしちゃいけないし、と言って
プリントを代わりに受け取っていた。


そりゃそうだろう。

僕は居ないんだから。


< 15 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop