龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
「ごちそうさま」

僕が立ち上がると、志鶴は不安そうに僕を見上げた。

「電話をかける用事があるから後でね」

そう言って志鶴の頭のてっぺんにキスをした。

少しは不安が和らぐことを願って。


志鶴の家は父子家庭で、志鶴はいつも家事に追われていた。
この家に来るまでは友達と遊び歩くなんて事はほとんどなかったはずだ。

結婚して身勝手な僕に縛りつけられる前に、せめて普通の学生生活をさせてあげるべきなんだろう。

それは分かっているのだけれど……

まさか僕が高校生の集まりに一緒に行くわけにはいかないし

まあ、女の子だけで行かせてどこのどいつか分からないような奴らにナンパされるよりは、僕の顔色をうかがうような男子高校生と遊ばせる方がまだましか


だけど


気に入らない



待てよ?

そうだ

あいつがいる



僕は携帯電話を取り出して、従弟の一人に電話をかけた。


「悟か? 破格のバイト話を聞きたくないか?」
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