龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
悪い奴じゃないんだ。

むしろ良すぎる奴。

スポーツ万能で、明るくて友達も多い。

夏実ちゃんや志鶴には、お節介なほどの優しさを見せる。

ちょっと乱暴な口調が志鶴には不評だが、それは数年もすれば決断力のある男らしさに変わるだろう。


だからこそ気に入らない


志鶴の心が動くかもしれないじゃないか


それに、彼は僕と出会う前の志鶴を知っている。


さらに気に入らない


できれば学校について行きたいくらいだ。


でも、僕の気持ちに気づかない志鶴は、『じゃ、行って来るね』って僕の唇に可愛らしいキスを残して出かけてしまった。


部屋は、火が消えたように寂しくなった。

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