龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
「今のままで、何がいけないんだい?」


「ステキよ。でもね、圭吾さんはいつも落ち着いてる。
たまには自分を無くすくらい夢中になってほしいの」


僕に暴走しろって言うのか?

確実に君に嫌われるよ。


こっそりと志鶴を伺うと、小首を傾げてこっちを見ている。


我を忘れるくらい夢中になった男が取る行動――

その1……その2……その3……

どれも今の彼女には無理だろう。

参った。

どうやってごまかす?


「じゃあ、僕を誘惑してみせて」


恐る恐る言うと、志鶴はニッコリと微笑んで僕の首に腕を回した。

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