片恋★パンドラボックス
終わりは雨と共に。
「おっ。今日も早いじゃん。」



「……うん。」



久々に泣いたのは最初の1日だけ。



泣き腫らした目を見られたくなくて早起きした日から30分早く起きるようになったあたしは、おにーちゃんが洗面所を使う前に準備を済ませるようになった。



「奈緒ー。歯磨き粉取ってー。」



「ん。」



「さーんきゅ。」



いつも通りの朝。



いつも通りのおにーちゃん。



泣き腫らした目のせいか、早起きをしたからか、さすがに初日はビックリしてたけど、2週間も経てば日常。



「じゃ、お先にー。」



「おー。勉学に励めよー。学生ー。」



「おにーちゃんもねー。給料泥棒って言われないよう、しっかり会社に貢献しなよー。」



「おー。」



ヒラリと手を振るおにーちゃんにニッコリと笑みを向けたあたしは、いつもより一本早い電車に乗り込む為、早々と家を出発した。

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