夏の鈴


だって俺はこのやり取りをしっている

金がない俺はおふくろに小遣いを要求するけど、結局もらえなくてそのまま家を飛び出した


そしてお菓子を買っていかなかった俺は、友達に文句を言われるハメになる

これから起こる出来事がなぜか記憶に残ってる


それは俺が予知能力者だからじゃない

俺が既にその体験を経験しているからだ


蒸し暑いはずの部屋がひんやりと感じて、急に息苦しくなった

俺はすぐにワイシャツのボタンに手をかけるが、その手はピタリと止まった


苦しいはずだ

だって糞暑いのに第一ボタンまで閉めてあるのだから

いつも第三ボタンまで開けているワイシャツをきっちりと着ている理由はただ一つ


制服からは線香の匂いがした




< 17 / 55 >

この作品をシェア

pagetop