茜の空



その最強チームに加わっていいの…!?
この私が!?



もしそれが本当に本当なら、
二度とないチャンスだと思う。



でもダメ。
ううん、ダメダメ。



萩原先生との約束だってあるし。
当分、教師は続ける。



それに今、その言葉に甘えてしまっても
私自身が中途半端だわ。
教師ですら半人前以下なのに。



もちろん、夢は変わらない。
自分の力で、自分の店を持ちたい。



でも、長谷川ブランドで経験が積める
なんて夢のまた夢な話。



『教師はしばらく続けるつもりでしょう?ゆっくり考えてくれればいいわ。その時がくるまで首を長くして待っているわね。』



ニッコリそう言われて、胸の奥が熱く感じた。



自分のしてきたことが認められたようで
嬉しかった。



諦めないでよかった。



私がまたコックコートの袖を通す日まで
今目の前にあることを一生懸命やろう。



長谷川鈴江氏との出会いで、私に大きな
転機が訪れたのは言うまでもない。










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