茜の空



『その日にするのは何か意味があるのかしら?』



『あの、18日はここの卒業式なんです。どうしても…卒業を見届けたい人がいるので。』



『そう。教師の冥利に尽きるわね。いいわ、その日にしましょう。近くになったらまた連絡するわね。あと、研修スケジュールも。』



そう言って、少しぶ厚い茶色い封筒を
手渡された。



『本当にありがとうございます。よろしくお願いします。』



深々と頭を下げた。



長谷川先生は校長に挨拶をして、
そのまま出て行った。



『君は、いい人と出逢えたね。いや、見つけてもらったのかな?夢を叶える大きなチャンスだね。未来の名の知れた有名なパティシエが、うちの卒業生だなんて光栄だ。前だけを見て、突き進んでください。途中、立ち止まることがあれば、ここで過ごしたこと、今胸に秘めている熱い希望を思い出してください。』



温かい校長の言葉に、ただただ
頭が下がった。













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