姫と野獣
出会い
神山 藍花16歳。今日から玉ヶ原高校に転校しましたが…早速道に迷いました。とりあえず誰かに聞いてみようかね。
「すいません!!玉ヶ原高校ってどこですか?」
「あぁ?なんだって!?」
大分お歳のおばぁさまにアタシはいくらか優しくゆっくり聞いた。
「玉ヶ原高校ってどこですか?」
「玉ヶ原高校?」
「はい。どこですか?」
「あっちだよ」
「ありがとうございました!!」
丁寧に頭を下げるとアタシは歩き出した。 すると頭の上から声が降ってきた。
「あんた、玉ヶ原高校行くの?」
見上げると、眼鏡のさえない男子がいた。
「はぁ…」
「じゃぁ、あっち。」
「はい?」
「だから玉ヶ原高校ならあっち。」
「いや、おばぁさまがこっちって…」
「いや、でもあっち。」
「あなた、この辺のひとなの?」
「違う。」
違うんかい。
「じゃぁ信用できないだろうよ。」
「あのばーさん絶対朦朧してるぜ?」
「はぁ?まぁ…若い人に聞いてみよう?」
「あぁ。」
ちょうどその時、人が通った。30歳くらいの人だった。
「すいません、玉ヶ原高校ってどこですか?」
「玉ヶ原高校ならそっちですよ」
マジか。
「あっ、ありがとうございました…」
アタシは朦朧ババァと知ったかboyに梅雨のような目を向けた。朦朧ババァはそそくさとどこかへ行った。あとは…
「あれ?そっちかよ。」
そうぼやいてからスタスタと歩いていった。
「待たんかワレェ!!」
アタシは力いっぱいツッコンだ。
「ん?うぉっ!!」
知ったかboyの襟首を掴むと一気に引き戻した。
「このボケ、何があっちじゃゴルァ?」
「ヒィッ…」
「己のせいで余計な時間食ったわい。おぉん?」
「だっ、誰!?口調がまるで違ぇ!!」
「きっちり貸しかえせやぁ…」
「本当にスミマセンでしたァ!!」
気が済んだのでアタシは胸ぐらから手を離すと歩き始めた。
まさかこの軟弱少年が一生忘れられない人になるとは思っていなかった…
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