Fahrenheit -華氏- Ⅱ


二村の言葉に瑠華がびっくりしたように目を丸め、そして不審そうにじとっと俺を見上げてる。


や!これは誤解でっ!!


俺は男が好きじゃありません!


そんな風に目で必死に訴えていると、


TRRRR


瑠華の携帯に電話が鳴った。


「失礼します」小さく断りを入れ、瑠華が携帯を取り出した。「Ah―――yup―――(はい)」書類を抱えなおして、器用に肩と耳の間に携帯を挟んでいる。


瑠華の電話はどうやら仕事の件だ。


どうでも良いけどそれ、「あぁ、いやっ」って聞こえるぞ?
(※親しい人に対する挨拶です。普通ならHelloを使用しますよ♪)


ちょっとドキッとする…けど、何の変哲もない挨拶で……やっぱ相変わらず英語の発音はむずかすぃ。


俺は二村に顔を戻すと、二村はぷりぷりと怒ったように目を吊り上げている。


「どうしてそんな嘘つくんですか!俺をからかってるんですか?」


と声は怒っているものの、本気で怒りを露にした様子はないようだ。


「どうして分かったんだよ」俺は観念して降参のポーズを作った。





「だって部長momo2持ってったじゃないですか。あれレディースですよ?」





二村の言葉に俺は目を開いた。


二村に分からないよう視界の端に瑠華を入れると、





「Yeah―――I'll call again in half an hour.(ええ、30分後に掛けなおします)」


と瑠華が左腕を上げるところだった。








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