同窓会
「まぁ、暗示をかけたようなものだったけど、今の綾乃はあの頃よりもずっと生き生きしてるからね。」

そうなんだ。

先輩の言う通りで、あれだけ自分を情けなく思っていた気持ちも消えて、ほんの少しだけど自信を持てるようになっていた。

"もうあの頃の私じゃない"って。

「なんだっけ。大石くんだっけ、初恋の彼は。」

「はい。」

「彼もきっとびっくりするよ。」

先輩は私と大石くんの距離感を知らない。

正直、大石くんの記憶に私という存在が残っているかどうかさえ怪しいくらい。

「こんな良い女がいたのかって。」

先輩の言葉は、私を勇気づけてくれるものだと分かるから、ただ嬉しい。

「頑張ってきますね。」

「報告待ってるわ。」
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