同窓会
大石くんの気持ちに対して、私はちゃんと返事をしないといけない。

こんなに真っ直ぐに伝えてくれたのに、ここで私が逃げるわけにはいかないよね。

「わ、私…。」

だけど、声が思う様に出なくて、体が震えてくる。

「片桐になら傷つけられても良いんだ。」

大石くんから決意のようなものを感じる。

「私も、ずっと…。」

今まで生きてきて勇気を出したことなんてほとんどなくて、前触れもなく突然やってきた正念場というものに、どう対処すればいいのか分からない。

「ずっと?」

両手をギュッと強く握る。

爪が手に食い込んで痛い。

「ずっと、大石くんが好き。」

好きな人に"好き"と言うことは、こんなにも胸が締め付けられるんだ。

「…それって、本当の気持ち?」

私は頷いた。
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