THE BEST REVENGE
「…マズぅ。飲めねぇよこれ」
「……飲むかよ、それを」

奏梧はアキラの血を少し飲み込むと
黒崎にとっとと返した。

やがて左手の針から注がれる
日向の血が全身に巡り、
軽く行き届いたことを
多少気怠い感覚と共に
感じてから針を外した。
そして何喰わぬ顔を取り繕い
その場を後にしようとした。

「なあ、どこに行くんだよ?」
黒崎は奏梧を呼び止めた。

「——夢を観に行ってくるんだ」

奏梧はそう残し、先へと急いだ。

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