THE BEST REVENGE
牟魯田は嫌な事を思い出した。
由衣香がそこまで拘る理由、
それを呟く。
「ああ……彼女、君の従姉妹だったな」

由衣香は瞬きも忘れて、
従姉妹のいた擁護施設の顛末を答えた。

「ええ。耳の聞こえなかった彼女は第3セクターが運営管理する施設で働いていました。ですが、施設は低賃金で15人いた障害者を酷使し、暴力行為にさえ及んでいたそうです。これは被害者からの証言で裏も取れました。まして、彼女に至っては職員からもはやレイプ紛いの行為までも強要されていた。なのに……」

牟魯田は続きを告げた。

「彼女——佐藤日向はそれを口にすることなく、いやそれどころか、その後一切口を利かなくなった。外因性とも内因性とも掴めぬが、ショックの末のことだと、診断書もあがってる。調べによると、人と話す時は、空色のメモ帳を使って会話をしていた。人と接する機会も少なくなった、そんな彼女と接する事が出来たのは、君の友人でもあり、田上の件で参考人のひとりでもある、村上奏悟、だとはな。随分よく出来た話だ。どこで調べた?」

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