ささやかではありますが
空がひっくり返った夜
…さて、これは一体どういう状況なのか。
酔いなんてすっかり醒めてしまったけど、状況が把握しきれない。
背中と頭と踵がベッドに柔らかく沈んでる。
目線の先には諒(りょう)が。
私に影を落として、私は蛍光灯の逆光で諒の顔がよく見えない。




つまりアレだ、私は目下、諒に押し倒されている。









「…えーと、諒?」


呼び掛けども諒は私の上から動こうとはせず、返答もなく。
諒はじっと、私の顔を見てる。
目線が泳ぐ。諒の目を見れない。
押さえ付けられてるわけじゃないから、抜け出そうと思えばなんとか諒から抜け出せそうなんだけど、そういう問題じゃなく、なんてゆーの?蛇に睨まれた蛙みたいな。


「……ねぇ、諒?」


それでも諒は何も言わない。
その代わり、ふるふると小さく頭を振った。
「どいて」と強く言えないのは、私にも非があるからだ。
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