桜の木の前で
「すごい。この雫。夢の雫ね?」

「ああ。1000年に一度俺の住んでいた世界に現れる夢の泉の雫だ。」

「かなり大きな代償ね」

凛は苦笑いを漏らす。

「ああ。それくらい私の孫娘は大変な時代を生きていくのさ。」

「やっぱりそこは家計のせいかしらねえ?」

面白そうに凛はつぶやく。

「さあ?じゃあ、そろそろ行くかな。」

「ええ。あ、そうだ!これを瑠璃ちゃんへ。」

「これは?」

凛は無月に桜をモチーフにした腕輪を渡した。

「これは?」

「桜乙女の力をより正しく導いてくれるものよ。これは私からのプレゼント。」

「でも代償は?」

「ふふっ代償はあなたの孫娘。いいえ。瑠璃ちゃんと刹那の娘の名を私に決めさせてもらうことよ。」

「孫娘の名を?」

「ええ。女の子が生まれたら蝶(ちよ)と名づけなさい。」

「蝶・・・いい名前だ。」

「ふふっ。さあ行きなさい。」

「ああ。」

無月はふわりと消えていった。
< 151 / 166 >

この作品をシェア

pagetop