桜の木の前で
「あっ!」

泉里はまだ微笑んでいる。

「封印の矢だね。やはり君は昔のまま優しいんだね。」

「だから私は真珠さんじゃないわ!」

「いいや。追い詰められても相手を憎み切れず最後には許してしまう。昔のままかわらないんだな。」

嬉しそうに泉里がこちらに近づいてくる。

その瞬間私の結界が壊れる。

逃げようにも壁に追い詰められて逃げれない。

「やはり俺の事を思い出さないか?」

苦しそうに呟く。

「だから私は真珠さんじゃ・・・」

そう言い掛けた瞬間唇を塞がれた。

「やっ・・・」

私は思いっきり泉里を突き飛ばす。

「きっと思い出させるよ。それにこの屋敷には術をかけてある。だから逃げれないから。」

そう呟くと泉里は部屋から出て行く。
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