桜の木の前で
「それはきっと私の気ではないかしら?」

「瑠璃の?」

「ええ。私と刹那は繋がっているから。」

そういって微笑んでみせると泉里は顔をしかめた。

「そんなことないって分からせてあげようか?」

そういって泉里は私に触れてきた。

その瞬間なにか切ないような悲しいような感情が流れてきた。

これは、なに?

その触れてきた手に静かに私は触れる。

すると泉里は驚いた顔をした。

「怖がらないの?」

「なにかしようと言うなら最初からしているんじゃないの?」

そう。
私を無理やり自分のものにしようとしていたならいつでも出来たはず。

だけどそれをしない。

それはきっとなにか理由があるはず。
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