占い師の恋【完】




ちゅんちゅんと鳥の囀(さえず)りが聞こえてくる。


そんな鳴き声で心地よく目覚めれたなんて、夢のまた夢。

無事に帰宅してから今までで何度目になるかも分からない溜め息を深く吐き出す。


睡眠は本の数時間。
ソファに座ったまままともに寝れず頭痛が私を襲う。



頭痛薬あったっけ?

そう思い薬を探しに動こうにも体が言うことを聞かない。


足はずっと動かないから暖かくなってしまった床に張り付いて、お尻と背中は深く腰掛けたソファから持ち上がらない。

どうしようもない…、



また吐いた溜め息は静粛な物音一つしない部屋に溶けて消えた。


(ああ…、バイト。)



もう一つどうしようもない、私のくだらない気持ちなんかより大切な事を思い出し時計を見上げる。

リビングのダイニングテーブルの上の辺りにか掛けられたら短針は6を指していた。


「…、バイトだ。」



もう一度自分に言い聞かすように今度は口に出して動かない体に鞭を打つ。全身に力を入れてソファを後にした。



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