占い師の恋【完】




「では、始めます。」


占いの方法は、ほら、もう定番なあれ。

私が鞄から取り出したのは、手に収まるサイズの小さな水晶玉。


゙占い師のイメージ゙は、黒いベールを被り水晶玉に手をかざしている姿。大体の人がそう考えるのではないか――。

王道のパターン、だからとかじゃないけど一番これを得意とする。



そっと怪しくライトに反射して光るそれに手をかざす。瞬間、私は口角をくいっと持ち上げて見せた。


嗚呼――、

「…最近、何かから逃げていますね。それも大きな何か。このままいても悪くはないですが、良くもないです。貴方が求めるモノは手に入らない、まあ大切な何かを見つければ全てが変わってくるでしょう。」


そこまで言い切り、分かりますか?と首を傾げる。



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